僕がはなもげらとであったのは25年前。
蓼科の山のふもとらへんに家族で旅行に出かけたときだ。

蓼科の山のふもとはうっそうと森が茂り、茂みの隙間からも厳しい
夏の日差しが降り注いでいた。

疲れたからここで休もう。
父がそういってリュックをおろした。
母と僕、妹もそれにならった。

立ち止まると、汗が勢いよく吹き出てきた。
のどが渇いてしょうがなかった。
母の携帯していた水筒をねだり、ごくりとみずを飲んだ。
のどごしから渇きが癒されて、なんだか腰がだるくなった。

向こうを見ると、腰掛けるのにおあつらえむきの大きな石があった。
ここにすわろう〜とはしゃいで皆を誘導した。

腰掛けようとしておしりをよっと乗せ、手をついたとき、
むにゅっ
ってやわらかい感触が右手から伝わってきた。
げっ、なんだ?
全身に鳥肌が立った。
右手をみると、
なんかを手で、ぎゅ〜〜っとしてしまっていた。

も、もげ〜〜〜
もぐらだかねずみだかわかんない小動物が、目を回していた。
お、おとうさん、僕の手の下にな、なんかいるぅ〜

父が僕隣に来た。
おや、これは珍しい。
え、なに?よくわかんないんだけど?
これはね、
はなもげらだよ。


つづく

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